明日はいよいよエイプリルフール。
毎年とても楽しみにしているのが、「イソプレス」(これはもちろん、かの有名なPC入門書の出版社「インプレス」のセルフパロディーである)の「PCうおっち」や「窓の社(やしろ)」。ベーグルやマックロソフトもいいが、何といっても一番いい味を出しているのは「404 Not Found」のエラーページだろう。
昨年は「おみくじ」をモチーフにした(?)ページだったのをご記憶だろうか。
・「ケースファンで髪をかわかす」
・「もはやダイヤルアップするしかない」
・「ロングホーンとはなんだと尋ねたい」
・「気づかぬうちにメモリが増えた」
どれもこれも実に笑いのツボをおさえた、わかる人にはわかるギャグになっている。と同時に、風刺のセンスもなかなか良い。CPUのクロックが3GHzにもなるとドライヤー並みの熱風が吹き出す。高い買い物をしても角が立たない(と信じたい)PCパーツの第一位はメモリであろう。
★ ※ ◎
数年前、ISO認証の取得ブームがあった。それ以来、毎年でも使ってやろうと思いつつなかなか使いこなせていないのが「USO800」である。
読んで字のごとく「USO800」はユーモアをマネジメントするための国際規格である。
ユーモアを発揮するには、仕事中に眠くなるような生活ではいけない。頭が冴えていなくても定型文書は書けるが、ユーモアのあるメールは書けない。配慮の足りない表現で同僚を傷つけてしまうかも知れないし、そんなことになっては本業にも支障が出かねない。不安や後悔で眠れなくなったりしたら「負のスパイラル」に陥ってしまう。ユーモアをマネジメントすることは、結果として仕事の質も生活の質も引き上げることがおわかりいただけるだろう。
オープンソースの文化に馴染んでいる人ほど、楽しくエイプリルフールを過ごせるようである。協同作業するメンバーと、距離はありながらも量的質的に濃密なコミュニケーションを図ることが、自然とユーモアのセンスを育むのだろうか。
オープンソースコミュニティがそのままリアルオフィスになったような職場(例えばGoogle)から見れば、平均的な職場での仕事ぶりが「仕事ごっこ」に見えるかも知れない。仕事をこなすことが仕事になっている。よりよく仕上げるということは二の次にされる。当座はよくても本当によいのかわからない。
★ ※ ◎
1999年、朝日新聞がエイプリルフールに架空の記事を載せた。閣僚に外国人枠を設けることを決め、イギリスのサッチャー元首相らを候補に…といったものだった。
よくぞやった、と思った。外国のまねをしてもしかたがないという批判もあったようだが、私はそうは思わない。大新聞の記事は翻訳されて世界中に伝わっていく。安易に日本国内の常識や文脈に依存した記事を書いていては、世界的に信用される日本のメディアという立場を築くことはできない。日本人ならではの視点や感性は大事だが、表現手法はグローバルスタンダードに合わせるべきである。
もちろん新聞には第一の読者として国内の購読者がいる。記事を書く側だけでなく、読む側も視野を広げる必要があるわけだ。エイプリルフールというフォーマットに合わせて架空の記事を書き、読むということは、両者にとって格好のトレーニングになるはずだった。
しかし、7年経っても一向に定着しないばかりか、世の中が一層ユーモアを解さなくなっている節がある。浦安市の成人式を皮肉った「素粒子」に市側が抗議したというのは、笑うに笑えない笑い話だ。
ユーモアは潤滑油であると言われてきた。「ユーモアは人間の生活に欠かせないもの」という共通の認識があったからだ。もはや、認識の共有すら破綻しているのかも知れない。極めて危機的な状況と言えよう。
★ ※ ◎
4月1日。ユーモアあふれる社会の到来を願い、腹を抱えて「窓の社」にお参りしたい。
2006年3月31日
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